ピラティスはケガや病気後のリハビリに最適!?その理由をわかりやすく解説
近年、健康志向やスタイル改善の観点から多くの著名人にも取り入れられ、話題になっているピラティスですが、実はケガや病気後のリハビリにも最適ということを皆さんご存じでしょうか。本記事は、リハビリにピラティスをオススメできる理由を専門的な観点から解説します。
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Pilates Studio DEP 新潟店代表。PHI Pilates Instructor 、栄養コンシェルジュ2つ星、NASM-PES等の専門資格を保有。新潟県内の整形外科クリニックに勤務し、リハビリ科主任として整形外科疾患を中心に地域医療に貢献する。現在は、DEP新潟店を運営し、主に予防の観点から地域貢献に従事している。
Index
ピラティスの起源
ピラティスは、ドイツ出身のジョセフ・ヒューベルト・ピラティス氏(男性)によって20世紀初頭に開発されたトレーニング手法であり、第一次世界大戦が勃発した際に、戦争により負傷した兵士のリハビリを目的として活用されていました。
現在、「ピラティス」は全身のバランスを整えることによる姿勢やスタイル改善、パフォーマンスアップ、不調改善などの効果が多くの人々の関心を集め、多くの芸能人やスポーツ選手にも愛されて実践されています。みなさんが知っている有名人も、たくさんの方々がピラティスを愛用しています。以下の記事を併せてご覧いただければ幸いです。
▶︎ピラティスを実践する芸能人45選!モデル・女優・歌手・アスリート総まとめ
そもそもリハビリとは?
リハビリ(リハビリテーション)とは、病気や怪我、手術などによって失われた機能や能力を回復させるための治療や練習のことを指します。
主な目的としては、以下の2つに大別でき、それぞれ幅広い内容を行います。
機能回復
身体の機能をできるだけ元の状態に近づける。
QOL向上
機能は元に戻らなくとも、自助具や補助具などの環境調整や公的サービスなどを利用し、自立した生活の支援することや、対象者ご自身(や支えるご家族など)が人生を生きている意味に喜びを感じられるよう支援し、生活の質を高める。
これらを目的としたリハビリは、個々のニーズや状態に基づいてプランが作成され、療法士(理学療法士、作業療法士)が中心となり、他職種と連携して行っていることが一般的です。
ピラティスで得られる効果とは?
ピラティスにはコアの強化、柔軟性向上、姿勢改善、身体のバランスと協調性の向上など多くの効果があります。ここではリハビリに用いる上で重要な効果をピックアップして後述していきます。
なお、ピラティスの効果については、「ピラティスの効果と体型変化!体が変わるメカニズム」の記事でわかりやすく解説していますのでご覧ください。
免荷と荷重下のトレーニングが調整できること
※免荷=体重をかけないこと
骨折の程度や部位などによってリハビリの方針は変わりますが、一般的な骨折後のリハビリの進め方は、骨折部の骨の修復状況に合わせて体重をかける程度を調整し、①完全免荷▶︎②部分免荷▶︎③完全荷重という形で段階的に進めていくことがほとんどです。
マシンピラティスのキャデラック(以下、写真1枚目)やリフォーマー(写真2枚目)という器具は、ベッドに近い形状であり、重力の影響が少ない状態でエクササイズが行えるため、患部を免荷したり荷重をかけたり調整することができます。
また、付属しているスプリングの負荷や取り付ける位置などを調整することで、負荷の強弱を細かく設定できるため、骨の修復状況に合わせて効果的かつ安全に刺激を入れることができます。
マシンピラティスの器具については、こちらの「マシンピラティスの全て!特徴と効果を徹底解説!」の記事で詳細に解説していますのでご覧ください。
筋力増強目的としても有効であること
筋力増強というと、「かなり重い負荷をかけないといけない」というイメージを多くの方が持つのではないでしょうか。しかしながら、筋肥大は比較的低強度の運動であっても、反復回数とセット数を増やすことによって高強度の運動効果に近い効果があると証明されています【1】。
また、運動のスピードによっても効果が変わってきます。ゆっくりとした運動強度で、筋の収縮時間を長くすることで、より一層筋肥大効果を高めるとも示されています【2】。
マシンピラティスは、スプリングの取り付け方法を工夫することで、目的に応じて強度を高めたり、逆に強度を減らしたりすることもできます。そのため、筋力増強目的以外にも、患部に過負荷がかかるリスクを最小限に抑えられます。
なお、マシンピラティスの効果については「体幹を鍛えて姿勢改善!マシンピラティスの魅力と効果を徹底解説」の記事で詳細に解説していますのでご覧ください。
不適切な身体の使い方が修正できること
ケガの原因は多岐にわたりますが、主要因として不適切なフォームが挙げられます。
日常生活や運動時に身体の中心部が安定しないことで、腕や脚の力に頼って身体を使い、より末端に過剰な負担がかかったり、動きがうまくコントロールできなくなることによってケガを引き起こすことが多々あります。
ピラティスは深層のコアを安定させた状態で、中心部と末端部の腕や脚の動きを連動させてコントロールしていくエクササイズが数多く存在しています。そのため、身体の負担が少ない、適切なフォームに修正することが可能です。
幅広い年齢の方にもピラティスを提供できること
マシンピラティスであれば、ベッドと同じように寝たままの状態で、身体のコアに刺激を入れることができます。そのため、起き上がることが困難な場合においても、身体を動かしてトレーニングすることが可能です。
さらに、高齢者を対象にした研究では、高齢者に対して継続的なピラティスを実施することで、身体機能改善に加え、転倒回数の減少が示されています。また、メンタル面でも運動に対する自信の向上や転倒恐怖症の改善も示されています【3】。
上記の理由から、リハビリにピラティスを活用することで、若年者から高齢者に対して、ケガ等のリスクが高い高強度の運動を選択しなくても、リスクを最小限にしながら、効果的に機能回復を目指せるといっても過言ではありません。
当店では、理学・作業療法士の国家資格を有するスタッフのみがレッスンを行うという安心がある影響もありますが、60歳〜80歳の年齢層のお客様も比較的多くご来店されています。実際、みなさん繰り返すごとに身体が良くなり、年々元気になっておられます。
元々、疲れやすく、肩首こりや腰痛、膝痛や腕が上がらないなどの問題があった方も、「毎日が楽になって嬉しいし、周りの人から姿勢がすごい良くなったと褒められる」とおっしゃられて、とても楽しそうにピラティスに通われています。
マシンピラティスのリハビリへの活用
ここでは、どのようにピラティスをリハビリの現場で活用できるか、足関節骨折後のリハビリを例に挙げて説明していきます。
➀完全免荷:足部にかかる荷重をなくした状態
地上から脚を持ち上げ、持ち上げた状態をキープしつつ、脚を入れ替えたりするようなエクササイズは、足部に荷重をかけず、足部以外の体幹部や股関節などの機能改善を行えます。
一般的なリハビリの場合、骨折部に負担をかけずに、骨折部以外を強化する運動は、骨折部を補助できない等の理由から、実施できる運動が限られることがほとんどです。
しかし、マシンピラティスでは、骨折部に負担をかけないよう補助したり、骨折部以外に負荷をかけることもできるため、多くの運動を実施することができます。
②部分免荷:足部に一部荷重をかけても良い状態
つま先立ちや踵を突き出す動きを繰り返したり、歩行動作のように交互に脚を動かしたりするエクササイズは、骨の修復が進み、足部に一部荷重をかけて良い場合に適しています。
一般的なリハビリでは、細かな荷重の調整が難しいことがほとんどですが、マシンピラティスの場合には、スプリング等を調整することで、細かな荷重の調整が可能です。
そして、立った状態にかかる荷重よりも負荷を軽くすることで、一般的なリハビリよりもいち早く足部の機能改善に着手できるため、結果として、早期の回復に繋がります。
③完全荷重:足部に体重以上の荷重をかけても良い状態
寝た状態でジャンプするエクササイズは、重力の影響を最小限にし、足部にかかる荷重をスプリングの負荷で増減することができます。
足部に大きく荷重をかけたい場合には、スプリングの負荷を強めることで、立った状態でジャンプする際にかかる負荷よりも増やすことができます。逆に、足部を使うことへの恐怖心の緩和を図りたい場合には、スプリングの負荷を弱めることで、立った状態でジャンプする際にかかる負荷よりも減らすことができます。
こうした細かな調整は、器具の置いていない一般的なリハビリでは難しい部分であり、マシンピラティスだからこそできる部分と言っても過言ではありません。
なお、実際のエクササイズ選択やリハビリの進め方については、骨折状況や個人の状態などによって大きく異なりますので、あくまで参考程度にお考えください。
また、上記以外のマシンピラティスの活用例として、手術後に当店へ通われて良くなられているお客様の事例がありますので、ぜひご覧ください。
▶ 【事例1】 側弯症の手術後でも、結婚式に向けて姿勢・腰痛改善!
▶ 【事例2】 2年ぶりのレッスンも姿勢はバッチリ!〜手術後のリハビリとしてDEPの強みの魅せ所〜
医療機関におけるピラティスの導入事例
徳島大学は、体幹強化と姿勢改善に役立つピラティスが腰痛治療やリハビリに効果的とし、すでに徳島大学病院を含む、県内病院と連携して普及に努めているようです。
この徳島大学のように、リハビリにピラティスを組み込む新たな取り組みは、腰痛治療とリハビリの新たな可能性を切り開いており、地域医療の新たな可能性を広げる足掛かりになるのは間違いありません。
出典:【ニュース】徳島大学整形外科及び県内関連施設では、ピラティスコンセプトをリハビリに導入しています
上記以外にも、多くの病院や整形外科クリニックでピラティスに関心が集まり、ピラティスをリハビリの手段として取り入れはじめている医療施設が増えてきています。
まとめ
リハビリにピラティスを取り入れることは、数多くのメリットがあると言えます。しかしながら、ピラティスを取り入れている医療施設はまだまだ少ないのが現状です。療法士であり、ピラティスインストラクターでもある私たちの活動が、今後多くの医療施設にピラティスを取り入れるきっかけになれば幸いです。
そして今後、ピラティスは地域医療に欠かせない存在になっていくかもしれません。ぜひリハビリにも最適なピラティスをお近くのスタジオで体感してみてください。
なお、ピラティススタジオDEPでは、現在、特別キャンペーン中で初回体験が破格の金額で受けられるだけでなく、効果を体験できなかった場合は全額返金保証でレッスンをご提供しています。お近くの店舗にお気軽にご連絡ください。
※ありがたいことに沢山のご予約を頂いております。レッスン枠には限りがございますので、興味があればお早めにご予約ください。
参考文献
Pilates Studio DEP 新潟店代表。PHI Pilates Instructor 、栄養コンシェルジュ2つ星、NASM-PES等の専門資格を保有。新潟県内の整形外科クリニックに勤務し、リハビリ科主任として整形外科疾患を中心に地域医療に貢献する。現在は、DEP新潟店を運営し、主に予防の観点から地域貢献に従事している。