

妊娠中にピラティスはできる?安全にマタニティピラティスを楽しむためには?
妊娠中でもピラティスをすることは可能です。しかし、安全管理を怠ると母体や胎児に悪影響を及ぼす恐れがあることを忘れてはなりません。本記事では、妊娠中に安全にピラティスを行うために知っておくべき効果や注意点について妊娠時期別に詳しく解説しています。適切なケアができれば妊婦さんの負担を減らし、産後の回復までサポートしてくれるピラティスをうまく活用していきましょう。
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Pilates Studio DEP 新潟店代表。PHI Pilates Comprehensive Instructor 、栄養コンシェルジュ2つ星、NASM-PES等の専門資格を保有。新潟県内の整形外科クリニックに勤務し、リハビリ科主任として整形外科疾患を中心に地域医療に貢献する。現在は、DEP新潟店を運営し、主に予防の観点から地域貢献に従事している。
Index
妊娠中ピラティスの基本
結論からお伝えすると、妊娠中にピラティスをすることは可能です。
ピラティスの中でも、妊娠中に特化したピラティスは「マタニティピラティス」とも呼ばれ、妊娠中の不調の軽減、出産への準備、産後の回復に有効な運動です。しかしその反面、安全管理を怠ると母体や胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるということを忘れてはなりません。
特に以下の症状がある場合には注意が必要です。
前置胎盤
胎盤が子宮口を覆っている状態で、出血のリスクがあります。
多胎妊娠
2人以上の胎児を妊娠している状態で、早産のリスクを高めます。
胎児発育不全(IUGR)
妊娠週数に対して胎児の体重が少ない状態で、早産のリスクを高めます。
子宮頸管無力症
痛みがないのに子宮出口が自然と開いてしまう状態で、早産や流産のリスクを高めます。
妊娠高血圧症候群
妊娠中に血圧が高くなった状態で、母体に大きな負担がかかるリスクがあります。
妊娠糖尿病
妊娠中に血糖値が高くなった状態で、母体に大きな負担がかかるリスクがあります。
なお、妊娠時期によって体の状態も変化するため、その時期に合わせたエクササイズの選択が重要です。そのため、自己流でピラティスを行ったりするのではなく、専門のインストラクターの下、妊娠時期と体の状態に合わせたメニューを行うことを強く推奨します。自己流では、思わぬ体の負担やトラブルにつながる可能性も否定できません。
妊娠時期別にみるピラティスの可否と体の変化
妊娠は、出産までの約40週間の期間(約10ヶ月間)を以下の3つの期間に分けることができます。
妊娠初期:0~15週(〜3ヶ月)
妊娠中期:16~27週(4ヶ月〜6ヶ月)
妊娠後期:28~39週)(7ヶ月〜)
妊娠初期にピラティスはNG?
妊娠初期はホルモンバランスの変化により体が大きく変化する時期であり、母子ともにとてもデリケートな時期です。そのため、ピラティスを行う場合には特に注意が必要です。
特に妊娠初期ではつわり・体調不良が生じやすいため、規則正しい生活を行い、体調が安定してからピラティスを検討するのが良いでしょう。
【体への影響】
妊娠すると出産前の体の準備のために数多くのホルモンが分泌されるようになります。その中でも「リラキシン」というホルモンが分泌されることで、靭帯が緩くなり関節が不安定になるため、以降は身体変化に伴い、妊娠前に見られなかった関節周囲の痛みが出る可能性があります。
ピラティスをやるなら妊娠中期がベスト
妊娠中期は体調が安定しやすい時期(いわゆる安定期)であり、妊娠初期と比較して体調が安定しているため、運動を行う活力が出やすい時期です。
また、妊娠中期は体重が増え、体型の変化が気になってくる時期でもあります。そのため、妊娠中にピラティスを取り入れるならこの時期が良いでしょう。
【体への影響】
妊娠中期には子宮と乳房が増大し、体重が増加してきます。その結果、体の環境が大きく変わり、妊娠前と比べて姿勢が崩れてきたり、腰痛や尿漏れが起こる可能性が高まってきます。また、ホルモンバランスの変化により腸の運動が低下し、便秘になりやすくなります。
妊娠後期のピラティスは慎重に
妊娠後期にはお腹が大きくなり、体重増加や体の重心の変化が起こります。そのため、動作が不安定になるほか、関節や筋肉にかかる負担が増え、痛みが出やすい時期といえます。そのため、妊娠後期には長時間の運動や転倒リスクがあるようなピラティスの動きは避け、メニューを決めていく必要があります。
【体への影響】
この時期になると体重の増加に加えて肋骨が開き腰の反りが強くなるなど、姿勢の変化が著しくなってきます。その結果、妊娠前には見られなかった息切れや首肩こり、関節痛が起こる可能性が非常に高くなります。さらにこの時期の姿勢が産後にも残ることが多く、産後の不調や見た目の変化につながる原因となります。
マタニティピラティスの効果とは?
腰痛、肩こり、むくみの軽減
妊娠中は体の環境が大きく変わり、妊娠前よりも腰や肩周りなどに大きな負担がかかります。ピラティスは、体幹の深層筋(インナーマッスル)を鍛えることで、骨盤や背骨を安定させ、正しい姿勢を保つ手助けをします。結果として、腰や肩周りにかかる負担を減らすことができます。また、適度な運動は血行を促進し、むくみの軽減にも役立ちます。
妊娠中の体重管理サポート
妊娠中の過度な体重増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのリスクを高めます。妊娠中のピラティスは、全身の筋肉をバランスよく使い、代謝を促すことで、健康的な体重増加をサポートします。また、妊娠中は食事制限ではなく、運動による体重管理は、母体と胎児の健康にとって非常に有効な手段です。
骨盤底筋群の強化と尿漏れ対策
妊娠から産後の尿トラブルに大きく関与するものに「骨盤底筋群」の筋力低下があります。ピラティスでは、骨盤底筋群を意識的に動かすエクササイズが多く取り入れられており、この筋肉を強化することで、妊娠中の尿漏れトラブルの軽減や予防、産後の早期尿漏れの回復に効果的です。
妊娠により崩れた姿勢の改善
妊娠による重心の変化や、大きくなるお腹によって姿勢が崩れやすくなります。ピラティスは正しい姿勢を意識し、それを維持するための筋肉を鍛えることで、姿勢の改善を促します。結果として、体にかかる負担を減らすだけでなく、妊娠中の姿勢の崩れの改善にも効果的です。
ストレス軽減とリラックス効果
妊娠中はホルモンバランスの変化、体調不良、出産や育児への不安などから、精神的に不安定になりやすい時期です。ピラティスは、深い呼吸と体の動きに集中することで、心と体を落ち着かせ、リラックス効果をもたらします。これにより、ストレスを軽減し、精神的な安定を保つのに役立ちます。
自律神経の調整
ピラティスの呼吸法やゆっくりとした動きは、自律神経のバランスを整え、心身のリラックスを促し、妊娠中の睡眠の質の改善につながります。また、ピラティスは呼吸を意識し、コントロールする能力が身につくため、陣痛時の痛みを乗り越えるための呼吸法を習得する上でも大いに役立ちます。
自己肯定感の向上
自分の体と向き合い、コントロールする感覚を養うことで、妊娠中の身体の変化に対する戸惑いを軽減し、自己肯定感を高めることにもつながります。
マタニティピラティスと産後ピラティスの関連
出産は体力勝負です。ピラティスで体幹を鍛え、全身の筋肉をバランスよく使うことで、出産に必要な体力と筋力の一旦を補うことができます。また、妊娠中のピラティスは、単なる運動不足解消だけでなく、妊娠中の体の変化に特化した様々な効果が期待できます【1】。併せて、母体の健康維持だけでなく、出産そして産後の回復にも良い影響をもたらします。
産後のケアとして産後ピラティスは大変有用なので、今のうちから興味ある方はぜひご覧ください。
▶関連記事:産後の体型リカバリーにはピラティスがおすすめ!産後ピラティスで美しく整える産後ケア
▶関連記事:ピラティスで骨盤底筋を鍛える!産後や更年期の尿漏れ改善と予防
上記のように、ピラティスは出産に向けた体の準備と産後回復の土台作りにも大変有用です。しかし、妊娠中のピラティスをする上で欠かせないのがリスク管理です。次に、妊娠中のピラティスを行う場合の安全対策をご説明します。
妊娠中のピラティスをする際の安全対策
医師の許可を得る
妊娠中にピラティスを始める前には、必ずかかりつけの医師に相談し、運動の許可を得ることを強く推奨します。ただし医師の許可を得た場合であっても、妊娠中の体は刻一刻と変化しているため、ご自身の体と相談しながら無理のない範囲で始めていきましょう。
体調に合わせて無理のない範囲で行う
特に妊娠中の体調は日々変化します。少しでも体調が悪いと感じたら、無理せずすぐに中止しましょう。お腹の張りや痛みを感じる場合は、即座に中断しましょう。
転倒の恐れがあるエクササイズは行わない
妊娠中は妊娠前の体の重心位置が大きく異なるため、妊娠前は容易にできていた動きもバランスを崩して転倒してしまう恐れがあります。そのため、急な体のひねりや片足立ちといった、転倒のリスクがあるエクササイズは避けるようにしましょう。
水分補給をこまめに行う
妊娠中のピラティスに限らず、運動前と運動中の水分補給をすることで脱水等の体調変化のリスクを減らします。そのため、こまめな水分補給を心がけましょう。
専門家の指導を受ける
妊娠中の体は非常にデリケートで急に体の状態が変化する場合があります。そのため、妊娠中にピラティスを行う場合には、マタニティピラティス、もしくは産前産後の女性の体に関する知識を持つ専門のインストラクターの下で、マンツーマン指導を受けることを強くお勧めします。併せて、急変に対応できるよう病院と提携しているスタジオ(グループレッスンなら助産院で行うピラティスクラス)だとさらに安心してレッスンが受けられるでしょう。
前述したように、妊娠中のピラティスは妊娠中の不調の軽減、出産への準備、産後の回復に非常に有効な運動です。しかし、何よりも母体と胎児の安全を最優先に、無理なく専門家の指導のもとで行うことが何よりも大切です。
なお、ピラティススタジオ DEP では妊娠中および産後2ヶ月まではスタジオのご利用をお断りさせていただいております。これは、妊娠中および産後2ヶ月は、運動により母体、胎児に重篤な障害や死亡などのリスクが伴っており、母体と胎児の安全を最優先に考えた当スタジオ独自の安全方針です(※助産院との連携が可能な店舗ではパーソナルを行う場合もあり、助産院でのグループレッスンも行う場合あり)。
当スタジオ在籍のインストラクターは産前産後のリスク管理を熟知しているため、産後2ヶ月以降であれば安全にサポートが可能です。産後2ヶ月以降、医師の許可を得てから安心してレッスンを行い、心身ともにリカバリーしていきましょう。
産後に起こりやすい尿漏れやぽっこりお腹などの原因と改善方法については、こちらの動画で詳しく解説しておりますので、今のうちからぜひ確認しておきましょう。
まとめ
妊娠中のピラティスは、うまく活用できると様々な効果が期待できる反面、注意するべき点が数多くあります。そのため妊娠中にピラティスを行う場合には、必ず専門の知識を持つインストラクターの下で行うことを強く推奨します。
ピラティスを安全に活用して、妊娠中の体のケアをしていきましょう。
なお、ピラティススタジオ DEP では、現在、キャンペーン中で初回体験レッスンを破格の金額で実施しており、効果を体感できなかった場合は全額返金保証となっております。興味があればお近くの店舗をぜひご活用ください。
※ありがたいことに沢山のご予約をいただいております。レッスン枠には限りがございますのでお早めにご連絡ください。
参考文献
【1】 Mérida-Téllez JM et al:Effects of Pilates on the quality of life of pregnant women during pregnancy: A systematic review. Medicine (Baltimore).2025 Apr 25;104(17)

Pilates Studio DEP 新潟店代表。PHI Pilates Comprehensive Instructor 、栄養コンシェルジュ2つ星、NASM-PES等の専門資格を保有。新潟県内の整形外科クリニックに勤務し、リハビリ科主任として整形外科疾患を中心に地域医療に貢献する。現在は、DEP新潟店を運営し、主に予防の観点から地域貢献に従事している。