猫背はピラティスで改善する?その効果と具体的ケアを専門家が解説
猫背でお悩みではありませんか?多くの人が抱える猫背の問題は、肩こりや腰痛、さらには疲れやすさの原因にもつながります。この記事では、科学的な研究データに基づいて、 猫背に対するピラティスの効果を詳しく解説します。 さらに、猫背の原因や簡単なチェッ ク方法、効果的な自主ケアの方法も専門的な視点から紹介します。
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Pilates Studio DEP宮崎店代表。開店前はリハビリテーションの分野の中でも回復期や生活期(デイサービス・訪問リハビリ)、整形外科クリニック等で勤務。様々な現場で患者様と関わり、予防医学の重要性を感じて宮崎店を開店。ピラティスを始める前は自身も腰痛があったが、現在は悩まされることもなくなり、痛みや不調の原因となる根本的な問題を早い段階から解するためにピラティスを提供して地域で活躍している。
Index
ピラティスとは?
ピラティスとは、20世紀初頭にジョセフ・ヒューベルト・ピラティス氏(男性)によって考案されたエクササイズで、主に体幹コアのインナーマッスルを強化し、正しい身体の使い方を学ぶことで、姿勢の改善やパフォーマンスアップを図れるメソッドです。
リハビリテーションや慢性的な痛みの改善、スポーツのパフォーマンス向上に特に効果的とされ、正しい方法で行えば、自身の安全な可動範囲で実施できます。そのため、老若男女問わず幅広い世代に支持されています。
ピラティスに関する詳細については以下のコラムでかなり詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
▶【姿勢改善】体幹を鍛えて姿勢改善!マシンピラティスの魅力と効果を徹底解説
▶︎【全般的な効果】マシンピラティスの全て!特徴と効果を徹底解説!
▶︎【ダイエット効果】ピラティスで痩せる?専門家が教えるダイエット効果の真実
猫背とは
現代人のほとんどが猫背であり、インストラクターやトレーナーのように普段から特に注意してケアをしている人以外は、猫背でない人はほぼいないと言って過言ではないでしょう。
人間の脊柱は以下のイラストのように、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個でできており、通常はそれぞれ「S 字」のようなカーブを描いています。しかし、猫背では胸椎部分が通常より過度に丸まっている状態となり、脊柱の配列が崩れた状態を指します。
猫背の特徴
猫背の特徴として、胸椎が過度に丸まっているという状態に加え、頭の位置が前方に変位する「頭部前方変位」を併発することが多いです。
さらに、猫背と頭部前方変位が生じると下記イラストのように(⻘色)部分の筋が弱化し、 (赤色)部分の筋が短縮する、というような筋のアンバランスが引き起こされます。
そして、これらは対角線上に交差するように症状が現れるため「上位交差症候群」と呼ばれています。猫背=上位交差症候群と覚えても問題ないでしょう。
※専門的な筋肉の名称が出てきますが、完全に理解できなくても後に影響はないのでそのまま読み進めてください。
猫背が引き起こすデメリット
肩こりや首の痛み
⻑時間のデスクワークやスマートフォンの使用で頭が前方に位置することで、首や肩に余計な負担がかかり、肩こりや首の痛みが引き起こされやすくなります。
腰痛
猫背は背骨だけでなく、骨盤の位置にも影響を与えます。その結果、骨盤が傾くことで、 腰椎(腰の部分の背骨)に負担がかかり、腰痛を引き起こすことがあります。 腰痛についての詳細は「腰痛改善で注目を浴びる「ピラティス」とは?その効果と具体的 ケアを専門家が解説」をご覧ください。
呼吸が浅くなる
猫背では、胸椎や肋骨の可動域が狭くなり、息を吸っても肺が十分に膨らまないため呼吸が浅くなります。 呼吸についての詳細は「ピラティスの呼吸全て!初心者〜ベテランの基本ガ イド」をご覧ください。
消化機能の低下
猫背は内臓を圧迫し、特に胃や腸の機能に悪影響を与えます。これにより、食べ物の消化効率が低下し、便秘や胃もたれといった消化不良の症状を引き起こしやすくなります。 消化機能の低下についての詳細は「胃痛を和らげる姿勢とは?ピラティスによる姿勢改善と消化促進」をご覧ください。
スタイルが悪く見える
猫背になると、見た目の印象にも悪影響を与えます。特に女性の場合、バストの位置が下がり、下腹が出て、身体全体がたるんだように見えるため、スタイルを気にされる人にとっては、なんとしても改善したい部分といえます。
精神的な影響
ある研究では、猫背姿勢は肯定的な思考へのアクセスを妨げる可能性がある【1】と の報告があります。つまり、猫背になると、心理的にもネガティブな思考に陥りやすいといえます。
肩の可動域が制限される
猫背になると肩甲骨の位置関係が変化し、肩本来の動きが制限されることがあります。これにより肩関節周囲炎や腱板損傷などを引き起こすこともあります。
循環不良と冷え性
自律神経系は背骨を通って出ているため、猫背によって背骨が丸くなると自律神経に悪影響があり、全身の循環不良も起こりやすくなります。その結果、手足の冷えやむくみ、冷え性などの症状が現れることがあります。
以上のように猫背は見た目だけでなく、健康や生活の質にも大きな影響を与えることがわかります。
猫背の原因
様々な原因がありますが、今回は重要な2つの原因について解説します。
⻑時間のデスクワークやスマホ使用による姿勢不良
前述したように、猫背と頭部前方変位の姿勢になると頸椎や首・肩周りの筋肉にも大きな負担がかかります。
以下は、頭の重さと頚椎屈曲角度(首の骨を曲げた角度)と負荷のデータです。
つまり、下を向けば向くほど頭に乗せた重りがどんどん重くなり首に負担をかける状態になります。下を向いたスマホ操作やデスクワークを長時間行なって負荷を首にかけ続けると、首肩こりが起こって当然というのが理解できるでしょう。また、このような姿勢を長期的に行い、姿勢が固定化されてしまうと、慢性疼痛の悪循環に陥ってしまう可能性があります。
スウェイバック姿勢による影響
スウェイバック姿勢は、肩よりも股関節が前に出ている状態を指し、腰が前に抜けて上半身と下半身が前後にずれている姿勢です。
この姿勢では、下半身が前方に移動するため上半身を後ろに傾けることでバランスを保とうとします。 しかし、上半身を後ろに傾けただけだと、頭の重みでバランスを保てなくなるため、背骨を丸めて頭を前方に突き出すようにバランスを保とうとします。
つまり、スウェイバック姿勢では、バランスを保つためには自然と猫背をとらざるを得ない状態になります。 スウェイバック姿勢も上位交差症候群と同様に筋のアンバランスが生じます。
以上のことから、猫背の改善には「上位交差症候群」と「スウェイバック姿勢」の筋のア ンバランスを同時に整えていくことが必要になります。
筋のアンバランスを整えるポイントとしては、上記写真の伸張・弱化筋(⻘色)は鍛えて、短縮筋(赤色)は伸ばして過剰な緊張をとることが大事になります。これを知っておくことで日々のケアの質が向上します。
なお、ピラティススタジオ DEP は姿勢・歪み改善を専門としており、無料姿勢改善マニュ アルというものを公式 LINE で無料提供しています。不良姿勢のチェック方法から原因理解、ケアエクササイズや日常生活での注意点などをとてもわかりやすく動画で解説したものが誰でも入手できるので、お近くの店舗公式 LINE よりお気軽にご利用ください。
ピラティスで猫背は改善するのか?
ピラティスと猫背に関する研究データをいくつかご紹介します。
以上の研究データからは、1回15〜30分のピラティスを週に2回、3〜9ヶ月間ピラティスを継続することで胸椎の可動性や筋のアンバランスが改善し、猫背改善に繋がる可能性が非常に高いことがわかります。
ただ、この研究報告のデータは当店のお客様の変化を見ているとかなり遅いように感じます。以下のように初回レッスンの一度の介入でも顕著に変化し、3回程度レッスンを行なったころには、ある程度姿勢が定着して猫背が改善され、猫背が原因で生じていたと思われる肩首こり、腰痛は軽減する方がほとんどです。
研究データとの違いは、おそらく当店が猫背だけを治すのではなく、全スタッフが理学・作業療法士で前述したスウェイバック姿勢なども的確に評価して全身を整え、ご自宅での自主ケア指導も丁寧にレッスンの際にお伝えしていることも大きく影響している可能性はあります。
初回体験は現在、破格のキャンペーン中なので、お悩みの方はぜひお近くの店舗で受けてみてください。
猫背のチェック方法
次は、ご自身で簡単にできる猫背とスウェイバック姿勢のチェック方法をお伝えします。
壁立ちチェック
1)壁に背中をつけて立ちます。
2)踵、背中、お尻、後頭部が壁にぴったりつくように立ちます。
3)壁と腰の間に手のひら1枚分の隙間がある姿勢を作り、壁に後頭部がつかない場合は猫背です。
仰向けチェック
床に仰向けに寝転がり、腰と首の後ろに手が一枚分入る隙間がある状態で後頭部、肩甲骨、腰、踵が自然に床につくか確認します。以下は正常な状態です。
この際、頭や背中が浮いてしまう、顎が上がる、肩が上がってしまう場合は猫背です。
スウェイバック姿勢のチェック方法
脚全体の傾きチェック
鏡に映るご自身の脚、もしくはスマホで下記の写真と同じように姿勢を撮影してください。
左が正常、右がスウェイバック姿勢です。スウェイバック姿勢は上半身よりも相対的に下半身が前にシフトしているので脚は横から見ると全体的に斜め前に傾斜したような状態に見えます。
壁立ちチェック
壁に背中を向けて踵と後頭部、背中をくっつけて立ってみましょう。
スウェイバック姿勢では、壁にお尻をついた姿勢よりも、壁からお尻を離した姿勢の方が楽に感じます。
チェックした結果はいかがでしたでしょうか。 当てはまった方はぜひ次のピラティスエクササイズを実施してみてください。
猫背改善・予防のためのおすすめピラティスエクササイズ
ピラティスのエクササイズを実施する前に仰向けのニュートラルポジションとインナーマッスルについての理解をしておくと、より効果的にエクササイズが可能となりますので、 ぜひここで併せて覚えておきましょう。
ニュートラルポジション
インナーマッスルとは、身体の深層に位置する筋肉群のことで、主に体幹部の脊柱や骨盤、 胸郭を支える土台のような役割を果たしている筋肉のことです。猫背を改善するためにもこれらの土台を適切に機能させることが非常に重要です。
代表的なインナーマッスルとしては、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋、横隔膜がありますが、 インナーマッスルの詳細は「腰痛改善で注目を浴びる「ピラティス」とは?その効果と具体的ケアを専門家が解説」をご覧ください。
ピラティスで用いるニュートラルポジションは、最も身体に負担の少ない良い姿勢の状態であり、これらのインナーマッスルが適切に入っている姿勢のことです。
骨の位置の確認
まずエクササイズを始める前に骨盤と肋骨の位置を確認します。
骨盤の前側にあるグリグリした出っ張っている両端の骨(上前腸骨棘=ASIS)と恥骨の3つの点を結ぶ三角形を「前方トライアングル」と言います。
仰向けのニュートラルポジションの作り方
①まず、脇腹の辺りに手をおいて、肋骨の位置を確認します。
②次に、先ほどの前方トライアングルを確認します。まずは腰骨の前側辺り(骨盤の前側)に両掌を当てると、グリグリ出っ張っている骨 (ASIS)があります。両手の母指球辺りをASIS に手を当てたまま親指同士を向かい合わせます。さらに、そのまま両手の人差し指を恥骨の方に向かって伸ばすと、前方トライアングルの三角形の完成です。
③最後に、前方トライアングルを天井と平行にし、腰のところに手一枚分の隙間を作ります。この隙間は、手一枚分よりも小さすぎると丸腰、大きすぎると反り腰の状態であり、手1枚分の隙間というのが重要です。この隙間を潰さないように姿勢を維持し、両手を肋骨に当て、息を口から「ハー」と吐きながら、肋骨をおへそ方にしまうようにウエストを絞ります。ここまでできると、前方トライアングルと肋骨の高さが同じになり、お腹は胸まで平らな一直線になります(横から見るとASIS–肋骨は一直線、かつ耳–肩–股関節が一直線で両者は平行です)。体幹のニュートラルポジションが完成です。
ニュートラルポジションがセットできたら、以下のエクササイズを実施する際にも使うと良いでしょう。
猫背改善・予防エクササイズ
サービカルノッド+カールアップ
①仰向けのニュートラルポジションをとります(取れなくても実施可能)
②息を吸って、吐きながら鼻で数字の1を描くように軽くうなずきます。とても小さな動きなので地味ですが、首の前の収縮感と後頭部の筋肉の伸び感を意識して5〜10回を目安に実施してください。
③ ②でうなずいた状態をキープしたまま、息を吐いて肋骨を絞るようにみぞおちから上半身を持ち上げます。最大限に上体を起こしたところで再び息を吸い、吐きながら背骨を下から順に降ろして仰向けに戻ります。5〜10回を目安に実施してください。
※上体の起こし具合は、肩甲骨が全て床から浮くまで上げるのが理想的です。しかし、体幹部が弱い方の多くはここまで持ち上げれず、多くの場合で腰の手のひら一枚分の隙間を潰してしまいます。腰の隙間は常に手のひら一枚分保ったまま頭を持ち上げましょう。
※頭が肩より前に出ないように注意しましょう。
※呼吸を止めずに続けて行います。
ヒールスライド+リバースプランク
①手を後方に位置した状態で床に座ります。足と膝の間は拳ひとつ分、指先はお尻側にセットします。
②手で床を押しながら骨盤を起こします。耳・肩・股関節を一直線にしましょう。 坐骨で床を押し、息を吸いながら頭が天井方向に引っ張られるイメージでも気持ちよく良い姿勢になります。これを繰り返し行うだけでも猫背の方にとってはかなり良い運動です。
③ ②の姿勢を保ったまま、片足ずつ脚の曲げ伸ばしをします。脚を伸ばしたところから引き寄せる際には、末端はリラックスして股関節の付け根から引き寄せるイメージにすると良いです。動作中は呼吸を意識し、吸う息で頭がより高い位置に引き上げられながら胸が気持ちよく開く感覚を持ちましょう。5〜10回程度を目安に実施してください。
※腰が丸まりやすい点に注意しましょう。
④余裕がある方は、より負荷が高く猫背改善効果の高いリバースプランク(修正エクササイズ)にチャレンジしてみましょう。②の両膝を立てたポジションから一度息を吸って、吐きながらお尻を床から持ち上げます。お尻を上げた状態で息を吸って、吐きながら元の位置に戻ります。この際、猫背の方はお尻ばかりが上がってスウェイバック姿勢のように上半身と下半身がズレたようなエラーが起こりやすいです。このエクササイズは、猫背改善のために胸を開くことがメイン目的であるため、胸が上がった分だけお尻も上がる(体幹は常に綺麗な一直線である)ことを特に大事に行ってください。回数は5回程度を目安に実施しましょう。
エクササイズ後は、今回最初に確認した「猫背とスウェイバック姿勢のチェック」を試してみてください。少しでも変化があればしっかり効果が出ていますので、効果を感じた方は継続して行いましょう。
猫背の改善には継続することが大切
デスクワークやスマートフォンの使用が増えた現代では、良い姿勢の人はほぼおらず、みんな不調に悩まされていて歳をとって困っていると言っても過言ではない状況です。姿勢の悪化が引き金となり、肩こりや腰痛などの不調を引き起こすことが多く、これを予防するための方法として、ピラティスは大変有効です。
ピラティススタジオDEPでは、初回体験の一度の介入でもしっかりと変化は出ており、変化を感じなければ全額返金を保証とさせていただいていますが、みなさんしっかりと効果を体感していただき、継続してピラティス行われて理想を叶えられています。
その他にも、たくさんの喜びの声をいただいておりますので、興味がある方は以下もご覧ください。
実際のスタジオレッスンの様子
▶肩こりが徐々にラクに!肩こり改善で生活の質が向上した方のご紹介
▶︎凛とした女性になりたい!猫背と巻き肩が改善した方のご紹介
▶︎身体が軽くなってきた!ピラティスで首肩こりが改善した方のご紹介
お客様の声
まとめ
猫背改善を目指す方にとって、ピラティスは非常に効果的なエクササイズ手段です。
ピラティスを継続的に行うことで、猫背改善以外にも見た目の変化や様々な不調の改善が期待できます。その結果、精神的にも身体的にも安定した健康的な生活を送ることができます。
ぜひ日常生活の中にピラティスを取り入れて、その効果を実感してみてください!
なお、ピラティススタジオ DEP では、現在、初回体験キャンペーン中で破格の金額を実施しており、効果を体感できなかった場合は全額返金保証でレッスンをご提供しています。お近くの店舗にお気軽にご連絡ください。
※ありがたいことに沢山のご予約をいただいております。レッスン枠には限りがございますので、興味があればお早めにご予約ください。
参考文献
【1】Nair, S.Sagar, M. Sollers, J. Consedine, N. & Broadbent, E. (2015).
Do slumped and upright postures affect stress responses? A randomized trial.
【2】Effects of a Pilates programme in spinal curvatures and hamstring extensibility in
adolescents with thoracic hyperkyphosis: a randomised controlled trial.
【3】Some Effects of Supplemental Pilates Training on the Posture, Strength, and
Flexibility of Dancers 17 to 22 Years of Age
【4】Woo-Lim Mun, Su-Yeon Roh(2024)Effects of 60 versus 30 Minutes of
Pilates Exercise on Cervicothoracic Alignment, Muscle Strength, and Endurance in University Students with Upper Crossed Syndrome.
Pilates Studio DEP宮崎店代表。開店前はリハビリテーションの分野の中でも回復期や生活期(デイサービス・訪問リハビリ)、整形外科クリニック等で勤務。様々な現場で患者様と関わり、予防医学の重要性を感じて宮崎店を開店。ピラティスを始める前は自身も腰痛があったが、現在は悩まされることもなくなり、痛みや不調の原因となる根本的な問題を早い段階から解するためにピラティスを提供して地域で活躍している。